

日向は鋭利なタックルと隙を逃さぬ決定力でほとんど勝利をつかみかけた。延岡青雲の鍛え上げられたFWと最後まで勝利をあきらめない意志も見事だった。同点で迎えた後半27分、自陣ゴール前でのぴんちをしのぎ切った日向が、WTB黒木竜の60メートル独走トライで抜け出す。しかし、延岡も反撃。長い長いロスタイムにミスすることなく攻撃を継続し、最後はSO室屋がポスト下へ飛び込んだ。劇的な幕切れに終わった17-17の死闘。表彰式後に行われた抽選の結果、花園への出場権は日向が手にした。

日向はタックルと展開力、延岡はFWの結束力と、お互いに持ち味を出し合った。

ケガ人が多く、大会前にようやく主力が復帰した旭野は「勝っても負けても、ラグビーを楽しもう」豊田自動車の指導を受ける三好の必勝モールを正面から受け止めた。前半9分にラックからFL山田恭平主将が抜け出して先制すると、27分にはモールから持ち込んで突き放し、堅い守りで相手のFWの攻撃を許さない。得意のモールで取り戻したい三好は焦りが反則を呼び、BK展開に活路を求めるも1トライで力つきた。「三好の強力FW相手によくタックルして耐えてくれた」(旭野・橋本監督)。

日向はタックルと展開力、延岡はFWの結束力と、お互いに持ち味を出し合った。

伏見の素早いパス回しは、成章ディフェンスの餌食に。12分には成章が自陣10メートルラインでターンオーバーすると、 一気に相手インゴールへ蹴り込むが、伏見の高速BKに捕まりチャンスを活かせない。伏見が均衡を破ったのは19分、 ラインアウトモールから得意の展開攻撃でWTB木崎翼主将がトライを奪うと、22分に追加点。キックでエリアを取りなが らも固い守りで、花園2年連続ベスト4の成章相手に1トライを許すにとどまった。「目標は全国優勝以外の何者でもない。 伏見のV5達成です」(木崎主将)

左ひざ負傷の成章PR森川主将も、ベンチから声援を送ったが・・・

15人中5人が2年生、5人が1年生という陣容で臨んだ御所が、『若さ』を見せず、天理の果敢なスタイルをはねのけた。 ラインアウトが万全でない天理は陣取りキックをほぼ封印。PKからは徹底してスクラムを選択するなど、狙いを絞った戦い を仕掛けた。圧巻は残り10分、5-17から17-17への追い上げ。シンビンで一人少ない御所を向こうに開き直って攻め切った。 ロスタイム33分に御所がモールで押し込んで突き放したが、奈良決勝・激戦の歴史を、さらに積み上げる濃厚な60分だった。

総合力に勝る御所(黒)。天理は準決勝以降ケガが多発