

準々決勝と準決勝で220得点、失点0という盤石の強さで決勝進出の正智深谷。対する熊谷工は前半耐え、後半ワイド展開のフィットネス勝負で 逆転というプランで挑んだ。だが、前半4トライは、耐えうる限度を超えていた。「あれでは正智は疲れない」(熊谷工・新野監督)。1対1を制圧、 個々構えへ出続け後半3トライを追加、SO森谷のゴールも全て成功、正智深谷の圧勝に終わった。「1、2年の時は、熊谷工に一度も勝てなかった代。 子供達の努力を改めて感じた」(正智深谷・松本監督)

SH北野広大がFWからボールを託され加速。正智深谷が持てる武器を最大限生かした

クライマックスは後半30分を過ぎてから。4点差に迫る浦和のトライで試合終了かと思われたが、まだ時間が。自陣ゴール前から連続、約4分 にも及ぶ猛攻で敵陣に入り、劇的逆転も現実味ある展開に。「ほっとした。負けなくてよかった」とは、深谷・横田監督。浦和・小林監督は、「 やりたいことはできた。指導者冥利に尽きる試合。」と選手を讃えた。個で光ったのは、深谷1年のCTB山沢拓也。約50メートルを駆け抜け先制トライ、 キックパスでトライも演出。横田監督は「将来はジャパンのSOに」と期待。

深谷のキャリアを襲う浦和のタックル。試練を超えた深谷はまだまだ成長中

茗溪7連覇か、常総悲願の20年ぶり花園出場か。後半は一進一退の行き詰まる攻防。20分に茗溪が19-17とした後は、常総が攻め続け、茗溪が 耐える時間が続いた。最終楽章への変調は27分。茗溪陣22メートル内でのラインアウトを常総が失敗。「ロスタイムがどれぐらいあるかわからない」 (茗溪・高橋監督)ことから、茗溪は展開を封印、キックも蹴らず、球を動かさずにラックを連続して時間を潰す作戦を採った。これが裏目に出た。 30分を過ぎたところで反則の笛。「狙っていた」常総LO北村のジャッカルを許した。運命のPGを託されたのは、この日3本中2本失敗の常総WTB平岡。 「前半、同じ右からのGKを外していたので、FWでいってくれと思った」が、すぐに気持ちを切り替えた。そして「蹴る前に天を見ました」。 昨年急逝した石塚前監督に願いをかけた。思いを込めたゴールは成功、直後、試合終了を告げる笛が響いた。「以前、花園は夢のまた夢と思っていた。 だが、負け続けてきた茗溪と清真に勝てた。こういう時代が来てもいいと思う」(常総・佐藤監督)茗溪はこの日、FL郡司ら怪我から復帰の3年生を 途中投入するプランで臨んだ」しかし、ライバル清真学園の和田コーチが「忍者」に例える郡司とはいえ、細井主将との交代は想定外。出血で細井の目 が見えない。主将不在の後半となってしまった。「茗溪に勝った」常総の目標は花園8強以上。故石塚監督の遺志であるタックルで、目標達成に挑む。

ケガ人続出の茗溪が渾身のタックル。常総がボールをつなぐ。最後は逆転PGで幕

後半ロスタイム32分、20-10と突き放すトライが、インゴールのほぼ真ん中に決まった(G成功で22-10)。仮に1トライ、1ゴールを返されても勝利 は揺るがない。青森工が昨年と同じ決勝カードを制して、35年ぶり7度目の県優勝、初めての花園出場を決めた。昨年、34年ぶりの決勝に臨んで雰囲気に のまれたという青森工は、今回は「はじめから上げてしまおう」(福田国康監督)と、開き直って攻めた。「SHの間山主将初め強気な選手がいる。BKにも 特徴のある子が何人か。FWの頑張りは大前提ですが、今年はプラスアルファがあった。それが前半早い時間帯での2トライにつながった。やはり後半 、足が止まりましたが、先手を取ったのは大きかった」例えば一本目は開始6分、自陣深くのディフェンスから激しいタックルでボールを奪い、そのままの アタックで取り切った。前半の青森工の2トライがいずれもBKによるものだったことは、青北サイドに心理的にもダメージを与えた。総合力では青北が上だ。 しかし、SH間山優斗、WTB津幡敢らがセットから、PKから果敢に走ると、青森北は一瞬反応が遅れた。青森工は23分にPGでスコアを刻み、前半15-0で折り 返した。後半は、青森北が反撃、9分までに青森工15-10青森北としたが、そこから攻撃中に不用意なミスが相次いで、チャンスを逃した。スタイルを信じ 切れた。はなぞのにむけた青森工の完成度アップは個々から始まる。

ロスタイムにSH間山がラックサイドを突く。青森工の攻撃的スタイルが図に当たった