review
  • previous
  • match1
  • next
帝京大39-13関東学大
帝京大×関東学大

関東学院大学ディフェンスを掻き分けるように進む吉田光治朗主将。帝京はフィジカルの強さで相手の巧みさを消した。

理と熱のシーソー。

すべては決勝の舞台で勝つための段取りなのか。岩出雅之監督の一挙手一投足をみるほどに、その周到さが見えて心憎い。

開始2分に先制トライを奪ったのは関東学大の方だ。帝京陣22メートル内ラインアウトからBK一発、インゴール

にWTBを走らせて関東学大は「自分たちのラグビーができると思った」(大島修平主将)。

しかし帝京サイドはまったく動じていなかった。「空回りでしたね」と試合後の岩出監督はにっこり。この日のCTBは橋口功、 黒川勝平、今季公式戦先発は一度ずつという経験の浅い二人だった。早々にトライを奪われた場面のミスについても「ディフェンスで見せなければ と思ったのか、少し無理に飛び出した」と寛容だった。

「短期決戦です。あまり多くを要求するよりも、試合で出た要素をポジティブにとらえて前に進んだほうがいいから」その短期決戦の1回戦に至っても、 ローテーションとも映る起用は続いている。CTB南橋はプレーできる状態ながらの温存だ。始まってみるとCTBの経験不足の響かない内容で、早々にスコアが 積み上がった。FWの正面にハイパントを上げてのラッシュからボール奪取、素早く攻めに転じてインゴールまで走りきる。圧倒するフィジカルは密集巧みな 関東の長所を押しつぶした。勝負は前半でほぼ決まったから(39-8)、帝京の道のりに何の問題もない。ケガへの危機管理しかり、チーム内競争の維持然り。

連覇へは、あと3戦。監督の徹底した理と、学生から湧きだす熱のあいだに答えは生まれる。

文▶成見宏樹