

関西大学Aリーグは史上稀に見る大混戦となった。ただし、天理大だけはワンランク上のラグビーを展開した感がある。
10月4日、8大学が集った開幕戦から天理大の強さは際立っていた。強力FWが売りの京産大を相手に、開始1分、NO8山路がBKラインの背後からサインプレーで走り込み、約50メートルの独走トライ。FW戦で後手を踏むシーンもあったが、終わってみれば54-14という快勝である。SO立川理道が自在にゲームを操り、小さなFWも抜群の運動力で、その後も快進撃を続けた。2年連続で関西を制覇している関西学大がこれを追ったが、10月24日、近大に思わぬ敗戦。昨季より FWがやや小粒になり、百メートル10秒台の俊足WTB長野らを生かすことができず、苦しい戦いが続いた。それでも、11月20日の同大戦では、粘り強いディフェンスで、28-25と僅差の勝利つかみ、最終節の天理大戦に優勝の望みを残した。 しかし、12月4日の花園ラグビー場では、天理大が今季の充実ぶりをそのままフィールドに表現し、FW・BKが縦横無尽に走り回って、50-14の快勝。実に35年ぶりの関西制覇を成し遂げた。監督生活18年目の小松節夫監督は、Cりーぐからの道程を振り返り、「弱い時代に頑張ってくれた先輩たちが、一つ一つ積み重ねてきた結果です。こういう日を迎えられて嬉しい」と目を潤ませた。
3位以下は、最終節までに順位が決まっていたのは8位の摂南大だけ。Aリーグに再昇格で健闘した近大は、最後までアグレッシブにしかけるアタッキング・ラグビーを貫き、最終節に大体大を破って3位に浮上。4位以下は3勝4敗で4チームが並んだ。当該チームの勝敗数で順位付けした結果、同大が7位となり、37年ぶりに大学選手権不出場となった他、シーズン前に評価の高かった立命大が6位でシーズンを終えた。組織ディフェンスの向上した大体大、伝統の粘り強いFWが復活しつつある京産大は、大学選手権枠に踏みとどまり、低迷期脱出のきっかけをつかんだ。
最後に、関東の強豪チームに比べるとサイズの小さな関西勢は、それぞれに工夫したプレースタイルを模索中であり、発展途上の面白さがあることを付け加えておきたい。