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一方の明大は試合1週間前になってもかまわず、2時間強のコンタクト練習を断行した。「選手がいやと言おうがやりきろう、と。何で東芝が強いか。それは怪我のリスクをおそれず、シーズン中も激しい練習を続けているから」と細谷直ヘッドコーチ。こうした強度の高い練習の積み重ねがあるから、今季の明大は乳酸がたまる終盤になってもいっこうに足が止まらない。早大の快速バックスリーを警戒して、キックを追うコースも入念に確認した。全勝で師走を迎えた自信と、挑戦者の気概。その二つがピンと張りつめた緊張感となって、朝の八幡山を包んでいた。
迎えた12月5日。陽気に包まれた国立で、よりスタイルを貫いたのは明大ではなく、早大だった。 前半、明大がこだわる再三のスクラム勝負を、早大の若きフロントローが受け止める。ファーストスクラ

この日詰めかけたファンは4万2729人。熱気に満ちた80分だった
ムでは「最悪の場合を想定して」ダイレクトフッキングで球を蹴りだしたHO伊藤平一郎だが、「組んでいくうちに、大丈夫、これならいけると思った。」明大のNO8杉本博昭主将は、「あそこで取り切れなかったのが敗因。ブレークダウンでも早稲田の方が一枚上手だった」と、FW戦での誤算を認めた。 FWが劣勢の予想を覆すと、早大自慢のBKも輝きを放つ。早慶戦では迷いながら走っていた井口が思い切りのいいラインを見せれば、ここのところ元気のなかった中濱は、トライにつながる好突破を連発。「自分らしいプレーができていない」と悩んでいたSO山中亮平も自ら仕掛け、効果的なハイパントで陣地を稼ぎ、トリッキーなノールックパスで魅せた。